「スルガと僕の感情大戦」

著者 天津 向 all

13.3.26

「スルガと僕の感情大戦vol9」

跳ねながらキムさんはこちらを見る。
「あのさ、その…さっきの説明は分かったけどさ、でもそれをこの…なんか認める事が出来ないというか」
キムさんの跳ねがもっと荒くなった。
「いやいや!違うよ!確かにさ、こういう時なんか小説とかであれこれなってる時ってさ、認めないとかあるけどさ!これをどうやって認めない訳?現に君から剣が出てる訳じゃんかよ!何故認めない訳?」
「いや、説明は分かるんですけどどうもそれが現実かどうかというのが」
キムさんの色がほのかに赤色に変わった。
「いやいやいや!違いますやんか!君ここで見たがな!後今喋ってるの誰や!キノコと喋ってるんやで君は!」
どういう事かはっきりと関西弁になった。しかもこの関西弁が正解かどうかも僕は分からない。
「それをなんで認めへんのや!…まあ、そうか。そりゃ君の考えも分かるよ。こんな話誰が信じるんだという話だもんね。でもさ」
キムさんのトーンが少し変わった。
「これが現実であるって君が信じなくても、これは現実なんだ」
そうだよな。と不意に思ってしまった。認めたくないと思ってたのに。でもどんな的確な状況説明よりも、この全てを飲み込むような説得力がある一言に心が揺れてしまったのは本当の事だ。
「まあもういいじゃないか」
声のする方を向くとその場にあぐらを掻いてこちらを見てるスルガがいた。その表情はだいぶつまらなそうだ。
「別に威砂貴にそんなちゃんと説明しなくてもいいだろう。これからまたおいおいと説明していく事になるだろうし」
さすがスルガは、キムさんより落ち着いてるな。まあいいか。とりあえず俺は今日もまた学校に行かなければならない訳なのだから、こんな所であれこれ道草してる場合でもない。時間的にもう遅刻は確定だろうけど、とりあえず学校に向かっていこう。こんな出来事が会った事は誰に言う事も出来ないけれどもこれからどんどん大人になっていき、いつかとんでもない事があったなあと思い出すのかもしれない。そもそも未来の自分ですらこの出来事を、10年後にちゃんと信じれてるかどうかも分からないんだけども。でもまあさっきスルガが言ったように説明もおいおい聞いていけば…
「…え?」