14.5.8
「スルガと僕の感情大戦vol33」
僕はとにかくこの誤解を解くためになんとか会話をしようとするも、亜寿沙は聞く耳を持たない。
「理由より……そもそもあんな下着を履いているというのもどうかなとは思うが……」
ぼそっと呟いた僕の台詞に対して、亜寿沙は顔を真っ赤にした。
「バ、バカじゃないの!?あんなひ、卑猥な下着なんて履かないに決まっているじゃない!わ、私、ラクロス部だよ!」
ラクロス部だと派手な下着を履かないというのは逆偏見だと思うのだが。
「あれは、あれだよ!秀美さんが送ってきて!『もうあんたも良い年なんだからこれくらいのセクシーな下着とか履いて同級生の男子を悩殺しちゃいなさい!』って書いた手紙も入っててさ!」
……なるほどね。ちなみに秀美さんというのは母さんの妹、つまり僕ら兄妹の叔母さんに当たる人で、先程の話から分かる通りかなり男性に対してアグレッシブな人だ。そんなこんだでついたあだ名は『女豹』だとか『女郎蜘蛛』だとか『ひでちゃん』だとか。
まあ『ひでちゃん』は関係ないんだけど。
「それをなんで私の所有物みたいに捉えているの!私のは全然あんなのじゃない!もっとシンプルな白いやつとか……」
とまで言って亜寿沙は顔を紅くしてこっちを睨む。
「何言わせるのよ!」
そう言うと手元にあったクッションを僕に向かって投げてくる。
「最低ね!」
「そうだそうだ、威砂貴は最低だぞー」
内容を分かっているのか分かっていないのか、適当なトーンで野次を投げてくるスルガ。いや、誰の着替えの為にこんなに揉めていると思っているんだよ……そもそもなんでスルガと亜寿沙が普通に喋っているんだよ……