「スルガと僕の感情大戦」

著者 天津 向 all

14.1.19

「スルガと僕の感情大戦vol27」

いや、そんな事を言ってる場合でもない。
「スルガ、もしあれだとその格好、何かしらで着替えた方がいいのではないでしょうか」
「はて?何が問題あるというのか?」
甚だ疑問、という顔でこちらを覗き込むスルガ。そりゃそうだ。僕が気にしている事なんて、絶対に、絶対にスルガからすれば興味ないという事だから。
「でも、そういう訳にもいかないよねー」
そう呟きながら後ろを振り返ると、50代くらいのおばちゃん二人がこちらを見ながらヒソヒソ話をしている。おそらく会話のテーマはスルガの格好である事は間違いない。僕は焦りながら
「あー、やっぱりこういう格好は非常に萌えでありますなー!コスプレはたまらんであるで候-!萌え-!女戦士萌え-!」
と嘘臭すぎる言葉を並べる。するとあちらから
「ああ、そういう人達みたいですわよ」
「コスプレって言うのよねあれって」
「逆にそういうので良かったわよね。変態じゃないかなと思ってましたもの」
「奇遇ね!私もよ」
なんてやりとりが聞こえる。これは一旦セーフ、という形でよろしいでしょうか?よろしいなら助かったな、という感じだ。
しかしこれだけで周りを納得させる訳にもいかない。
「スルガ」
「なんだ?好きな裁判所は家庭裁判所だぞ」
……裁判所に好き嫌いなんてあるのか。
「いや、そうじゃなくてさ、うーん」
「なんだ威砂貴?キレが悪いな。何が言いたい?それくらいもじもじしてるのは、私の世界の男子だとするとモテないぞ」
そう言われた瞬間、僕はピンと来た。
「そうだ!スルガ、その格好、きっとそっちの世界では当たり前の格好なんだよね?」
「あ、ああ。そんなに奇抜な格好ではないな」
「そこなんだよ!こちらの世界では少し違和感ある格好に見えてしまう」
「確かに同じような格好の人間に会った事がまだないな。あちらでは今の格好の人間なんて山程いたというのに」
そうなのか?こんなセクシーな格好の人がたくさん?おいおい、ちょっとそちらの世界に行ってみたいなあ、なんて思ってみたり。