「スルガと僕の感情大戦」

著者 天津 向 all

14.5.2

「スルガと僕の感情大戦vol32」

次の瞬間、天井がかすんで視界に入ってきて、そのぼやけた世界を辿り出して思い出す。
体を起こすと、そこには亜寿沙とスルガが楽しそうに談笑していた。
「お、起きたのか威砂貴」
こちらに気付いたスルガが手を振りながらそう言う。その言葉でこちらを見る亜寿沙はとんでもなく汚らしいモノを見る眼だった。
「何ですかあなたは」
急によそよそしく喋った亜寿沙。その言い方の冷たさにぞくっとする。
「い、いやだなあ亜寿沙さん。僕ですよ。兄の威砂貴ですけど」
気圧されて僕もつい敬語になってしまう。
「私に兄なんていませんけど」
「いやいや!いるよ!ずっとあなたが産まれた時からいるよ!」
「それは生き別れの……的な話でしょうか?」
「いや違うよ!目の前にいる兄貴だよ!」
つんけんとした顔をしながら相も変わらず淡々と話を進める亜寿沙に対してしっかりめにツッコむ僕。しかしそれに対して亜寿沙は笑う事もない。
「意地悪しないでくれよ亜寿沙」
「妹の部屋を勝手に見るような人をお兄ちゃんだと思いたくないんですけど」
「それはそうだな!ごめん!それにしても少し理由があって」
言った僕の台詞に驚きを隠さず口に手を当てる亜寿沙。
「理由!妹の下着なんかを見ている事に理由!なんて変態な理由が聞けるのかな?ヤバイ、聞きたいような聞きたくないようなだよ!」
「だからそういう事じゃなくて!」