14.4.10
「スルガと僕の感情大戦vol31」
そう呟いた後、僕は目的を思い出し、とりあえずクローゼットを開ける。するとそこにはたくさんの女性っぽいというには少し幼いような服がたくさんあった。
「服はちょっとボーイッシュなんだよなあ。多分こういう少女趣味と思われたくないんだろうなあ」
部屋と服を見比べながら呟く。さてさて、どの服が一番良いのだろうか。というか、普通にここにかけている服はダメだ。おそらく服の中でも一軍の服だらけだろうし、それが無くなっているとなると絶対に騒がしい事態が起こるのは目に見えている。
「となると…下か」
ハンガーにかかっている服の下に段ボールが二箱。きっとそこに服の二軍を入れているのだろう。そう思った僕は段ボールを開ける。
「なかなか開かないな……よし!……こ、これは!」
そこにあったのは、俗にいう下着、というやつがたくさん入っていた。しかもそれは黒であるとか赤であるとか、布面積が少ないであるとか、とにかく派手という言葉しか思いつかないようなそんな下着ばかり。なかには金色のスパンコールみたいな物もあった。
「え?こ、これを有里音が穿いている、のか?こ、こんな、もうセクシー過ぎるパ、パンツを……?」
かなりドギマギしていたのは、やっぱり全く有里音に、こういう女子的要素を感じなかったからだ。イメージになさ過ぎる。僕はパニックになっていた。
だからこそ後ろの物音に気付けなかったのだろう。
「……!?」
気付いた時にはもう遅かった。振り向くと、いつも朝に顔を合わせる家族がいた。
しかし朝の時なんかよりも遙かに怒りのオーラを纏った僕の妹が。
「あ、亜寿沙、こ、これは違うんだ!」
「違うって……何が違うのよこの変態兄貴-!」
次の瞬間には亜寿沙の右足の体重が乗った見事な蹴りが、しゃがんでいる僕の顔にヒットした。
そして意識を失った。