13.8.4
「スルガと僕の感情大戦vol21」
「ようやくおでましかい、待ちくたびれたぜ」
そう言って、彼、御徒くんは付けていたヘッドホンを外した。
「まあいいや。なんかさ、葉壁。お前さっきの教室でもそうだったけどさ、うざいんだよ」
ほう。なかなかな本音でぶつかってくる奴だね。担任の先生ならお前の事を抱きしめたいくらいだよ。
「そして今日の事だろ。いつかお前に天誅を食らわさなきゃな、なんて思ってた時にお前がこの狂舞大戦にエントリーしてるのを知った」
大会の名前は狂舞大戦というのか。
「それなら好都合、という事でこうやってわざわざお前を待ったんだ。お前に敗北の味を味あわせるためにな」
「そんな事しなくても、話し合いで解決できないのかな」
「はっ!話し合いだ?お前と話す事なんて何もない」
「いやしかし…」
「分かった。話すなら、俺はお前を倒したい。あんだけ周りに迷惑かけるくらい教室でうるさかったお前をこの場でボコボコにして、地面にはりつかせたい。これで話し合いは終わりだ」
「おい。どうでもいいが戦うのは私だ。御徒。お前は武器でしかないのだぞ」
水色の女の子が口を開いた。髪の毛がはっきり水色で短めのツインテール。歳は、8、9歳に見えるが、体全体が放ってる落ち着き方がもっと大人に見せている。といってもそれでも14、5歳な訳だが。
「分かってるよムーブ。しかしこいつとはちょっといろいろあってな」
「それは知っている。だからこそお前の我が儘を聞いてこうやってあやつが来るのを待ってたのではないか」
「すまないな…だがもう大丈夫だ。さっさとやっちまうか」
「ああ」
そう言うと水色の女の子は御徒の体から武器を取り出した。大きい青竜刀。その武器を持つ水色は、どうも不格好で、しかしそこがいい!という輩もいるのだろうな、と思った。
「おい威砂貴」
スルガが退屈そうに目を擦りながら言った。
「あちらも臨戦態勢だ。こちらも戦わせてもらおうじゃないか」
「…そうだな」