13.6.28
「スルガと僕の感情大戦vol20」
「ならば威砂貴。そのお前の賢いついでにもう一つ聞かせて欲しいんだが」
「なんだい?」
「何故ここに来れたんだい?」
「ここに?」
見渡すと、街の中でも一番大きいとされるグラウンドの前にいた。がむしゃらに走って着いた先がここだっただけだが…
「どういう事?」
「いや、さっき質問があると言ったろう?その質問なんだが、何故、まだ何も言ってないのに対戦相手がいる場所が分かったんだい?」
?
何を言ってるのかピンと来ないままグラウンドにもう一度目を向けた。そしてようやく視覚からの情報が、さっきの赤髪の言葉に追いついた。
「こ、これってまさか…」
「そう、また対戦だよ。その為にわざわざ君を迎えに来たんじゃないか」
「また?また対戦?」
「珍しいな、ダブルヘッダーだよ」
するとキノコがまた胸の間から出てきて口を開いた。
「しかしまあ珍しいな。ダブルヘッダーもだが、ここまできっちりあちらが時間指定してくるなんて」
「ど、どういう事ですか?」
「普通戦いなんて何でもござれでいつ襲ってもいいっていうルールだ」
「そうなんですか?」
「威砂貴、お前に会った時もスルガが襲われてた時だろう」
「そう言われればそうでした」
大事な話の途中だろうに、僕は全然関係ない、赤髪の名前をようやく思い出せた。そうだ、スルガだ。
「それなのにあちらはお前が来るのを待ってたんだ。それこそ果たし状みたいなノリでな。お前、何か因縁でもあったりするのか?」
因縁なんてある訳がない…と思ってあちらさんを確認する。
あ。
あった。
あちらを見るとまず目をひくのが小さい水色の髪をした女の子。その横には、本当に、今日の今日名前を初めて知った彼が爪を噛みながら立っていた。