13.6.13
「スルガと僕の感情大戦vol19」
考えた結果、僕は校門から、赤髪女の前を通り過ぎる形で全速力を継続させて走った。とにかく全速力で。そして角を4回ほど曲がってからスピードを緩める。
はあ、はあ。はあ、はあ、はあ。
息を整えながら後ろを見る。すると全く息の切れてない赤髪女が不思議そうにこちらを見てる。
「威砂貴。幾つか質問がある。何故目の前を通り過ぎた?僕はここにいたのに」
「はあ、はあ。…僕はここにいたのに…ってヒット曲のタイトルみたいに言うな…」
「ヒット曲みたいに言ってたのか。全然知らなかった。そう考えると私は天然かもしれないな」
「はあ、はあ。…天然かどうかは知らないよ…」
「で、何故私の前を走り抜けたのだ?」
「それは…簡単な事だよ。君は僕に用があって来た。しかし僕はあそこで待ってる君にストレートに声をかける訳にはいかなかった」
「なんでだ?全然声をかけてくれて良かったのに」
「僕には明日からの学校生活もあるんだ。全てをおじゃんに出来る訳がないだろ」
「ふん、それで?」
「でも君の目的はあくまで僕なら、僕が目の前を走り抜けたら絶対に追いかけてくると思った。それならば、直接的な接点は他の生徒に見られる事がない。見られなかったら後でなんとでもなるんだ」
「なるほど!それはすごい考え方だね!威砂貴はすごい賢いんだな!」
赤髪は心底関心してる様子だった。そんなリアクションがちょっとだけ誇らしかった。気付けばだいぶ息も整ってきた。