13.5.24
「スルガと僕の感情大戦vol17」
その後御徒くんは帰ってこなかった。それを気にする先生もおらず授業は進んでいった。そんなものなんだなと思った。
そして気付けば放課後。学校の授業が長いだとか言うやつは本当に授業が嫌いなんだろうなと思う。別に時間に長いも短いもないのだ。それをあれこれ楽しい時間は短いなとか、退屈な時間は長いとか。いやいや。どちらも等価値の時間だ。
なんてひねくれたっぽい事を思ってると右肩にはっきりした重みが来て、顔の横に見慣れた顔があった。
「よーし!帰るか!」
「お、重い…とりあえず離れてくれ」
「なんだよ、そっけねえなあ」
「仕方無いだろ重いものは重いんだから。そんな事より橘、部活は?」
「部活?ああ、今日はいいよ。とりあえず俺は俺でレギュラー確定だし、さぼる日があってもいいだろ」
「レギュラー確定?うちのサッカー部ってけっこう強豪校だったろ」
「まあねー、でも俺本当にサッカー上手いしー。二年でレギュラーって俺くらいだしー」
「…その喋り方なんとかならんかね」
「なんだって?」
「いや、なんでもない。そうか、なら一緒に帰るか」
「よし、そう来なくっちゃ。おい、有里音ちゃん!」
びっくりしてる有里音。
「今日威砂貴と一緒に帰るけど、有里音ちゃんは?」
「え?え、えっと、私は、生徒会の会議があるから…」
「そんな-、別に今日くらい大丈夫じゃない?」
「でも、一応私生徒会長だし…」
「いいじゃんいいじゃん!3人一緒に帰ってさ、それから俺途中で別れるから、そこからは威砂貴と二人きりだし」
「はうううう?ふ、二人きりとか、にゃ、にゃに言ってるの橘くん!」
だいぶ動揺してる有里音は顔が真っ赤になっていた。この色、まさに今の夕方の色によく似てるよな…あれ?
夕方の空を見てたつもりが、校門の所に目がいった。
そして、そこには今朝知り合ってしまった彼女がいた。
夕方よりも遙かに濃い赤髪をなびかせながら。