「スルガと僕の感情大戦」

著者 天津 向 all

13.4.16

「スルガと僕の感情大戦vol12」

その時はなにかこのスルガの台詞に小さな違和感は感じたものの、別にこんな事が起こった後だ。心の整理なんてもんは家でやるもんだと判断して、その場の違和感は落ち着いていった。
そして僕はキムさんにこれからの戦いの時のスタンス(戦いの時はなるたけスルガから離れておく、しかし離れすぎるとその武器の能力が弱くなってしまうので、結局つかず離れずという位置にいないといけない)をあれこれ教えてもらって、今日はスルガとキムさんと別れる事にした。そしていろいろ気付いたのは、想像より僕はこういう妙な、というかむちゃくちゃな状態を受け入れる事が出来るんだなとは思った。
「それじゃ。僕帰るから」
「帰る?確かどこかに行くって」
これはさっきの話を訂正せねば。シンプルに恥ずかしい。やはり心が揺れていたのだろう。
「そうだ。僕学校に行く途中だった。ごめん」
何がごめんかは分からないけれども、とにかくごめんでこの場をごまかしたかった。そして学校に向かおうと思った矢先、どうしても聞きたいまではいかない事だけど少し気になった事をなんとなく聞いてみた。
「そういやスルガ」
「なんだい?好きなコンビ二は24時間営業だぜ」
いや聞くか!そもそもコンビニ好きならもうちょっと店絞る形でいこうよ!誰が24時間営業かそうじゃないかで分けるかい。
「いや、そうじゃない。さっき、武器の説明で言ってたろ。スルガが抜いた武器ってのは僕の感情だって。その感情って一体どの感情なのかなと思って」
「あの武器か。威砂貴。感情ってのは第一感情と第二感情ってのがあってな。まあ分かりやすく言えば第一感情ってのは心の一番はっきりしてる反射的な感情だ。つまりは喜怒哀楽と言われるもの。その第一感情ってのは僕の得意ジャンルなんだがね。そして第二感情ってのはその第一感情のリミックス、というか要は心の揺れるもの、嫉妬や楽観、そのような感情だよ」
なにか分かったような分からないような。まあ、単純に言えば喜怒哀楽以外の感情が第二感情というやつなのだろう。
「で、僕はどっちなの?」
「ああ、威砂貴は第二感情の方だ」
そうか。言われれば初めに会った時にキムさんが僕の事をセカンドって言ってたっけ。
「それで、その僕の感情はなんだったの?」
「ああ、それか。威砂貴の中の一番強い感情を引き抜かせてもらったが、それはね」
スルガはその感情を当たり前のように言い放った。僕はそれを聞いて心が動いてない事に気付き、スルガの言った事を深く不覚にも正解だなと思ってしまった。
「威砂貴の最大感情、それは絶望だよ」