13.4.2
「スルガと僕の感情大戦vol10」
とんでもない事に気付きそうになって鼓動が早くなっている。
「えー?スルガさん?」
「どうした?」
スルガはどこから出したのか、じゃがりこ的なものを食べている。ポテロング的なものと何が違うのか分からないけれども、とにかく食べている。しかし棒状のものが好きなのだなあの娘は。
「あのさ、先ほどスルガが言ってた事って」
「先ほど?…あ、ラフティが誰よりも好きだよ」
「いつそんなの言ってたんだよ!ラフティは沖縄の角煮だろ!」
言ってみたものの沖縄の角煮を説明して一体どうなるのか。そんな軽めの恥ずかしさを感じながらも、僕はスルガにもう一度聞かないといけない事がある。
「スルガ、さっき言った台詞だよ。それをもう一度聞かせてくれ」
「ああ、…ちゃんと説明しなくてもいいだろう」
「その後その後だよ!」
「その後は…これからまたおいおいと説明するって」
僕は聞き間違えてない事に戦慄を覚えた。
「おいおいって…一体どういう事?僕らは…ここで終わる関係だよね?」
自分ながらなんか勘違いされるいやらしい言い方をしてしまったなと思う。
「何を言ってるのだ威砂貴?」
「いや、今日こうやって感情を剣とかにするって言ってたじゃんかよ。まあそれはそれでいいじゃないか。でもおいおいって、これからスルガにもキムさんにも会う事はないじゃないか。だからどういう事かなって」
するとスルガは驚いた表情を見せて口に咥えてたじゃがりこ的なものを噛み砕いた。
「いや、あれ?もう早速説明しなきゃいけない訳?おい、キム説明頼むよ」
「何を説明するってのかい?」
キムさんが現れた。別に何って事もない退屈そうな顔で。
「キムさん、おいおいってどういう事?」
「うんとね、どう説明すればいいかな。威砂貴、お前はスルガの武器になったよな?」
「それはなったけど」
「この大会の説明はしたよね?5年に一回行う大会だって言ったよね?すごい人数がそれに参加してる訳だよね。それが今一回勝っただけで終わる訳はないよね?」
「そりゃ…そうだよね」
やばい。もしかしたらこうなられるとまずいという話になりそうで怖い。いや、そうなるのはこの流れでは確定なのかもしれないけども、それをちゃんとこの耳で聞くという一つの病院で言われる告知的な、なんか分かってるけど怖いあの感じ。しかしそんな事はお構いなしにキムさんは喋り続ける。
「この戦いはまだまだ続く。そしてこの大会規定は、一度利用した武器はこの大会で敗北、もしくは最終勝利まで継続する。分かるか?」
分かってしまう。もう少し難しい言葉で言ってくれたらいいのに。悲しいかな分かってしまう。